歌手の井上あずみさん。「となりのトトロ」や「天空の城ラピュタ」のエンディングテーマなどを歌っておられる方です。
ジブリ作品は、小さい頃から何度も観たので、そのテーマ曲の、透明感のある澄んだ声は、しっかり耳に焼き付いています。でも、歌う方のお顔は今回、新聞のコラムで初めて拝見しました。
井上さんは「自分が歌っていることは知られていなくても、みんなが曲を知ってくれている。そんな素晴らしい曲に恵まれた」と。
これまでの活動において、特にファミリー向けのコンサートに力を入れてこられたそうです。なぜなら「子どもはつまらなければ正直に反応する」から。
歌う時は「子どもと1対1で会話をするように意識する」という言葉が印象的でした。
分野は違いますが、仕事で朗読の練習をしたことがあります。社内に上手なスタッフがいて、今もその人が専任ですが、私も挑戦したことがあって。まったく評価されませんでしたが、その時にその上手な先輩が「自分は、読む文章を入れるための器にでもなったつもりで、感情を入れずにただ読む」というようなことを言われました。それに愕然としたことを覚えています。
なぜなら私は、つっかえずに読もう、うまく読もう、としか考えていなかったからです。その時にすごく恥ずかしかったことを覚えています。
井上さんの表現手段は歌ですが、たくさんのお客様がいても、そこに来られる子どもさんのために、その中の1人を相手に会話をするように…というのは、自分がうまくやろうではなくて、聴いてくれる相手を思う気持ちがとても伝わるなぁと思ったのです。
私はどうしても、我が強いというか、野心があるというのか…利他って難しいなぁと思ったのでした。