作家の津村記久子さんが、引っ越しと場所の記憶について、エッセイを書いておられました。場所の記憶…においと共に今でも思い出すのは、母方の祖父母の家です。その台所の脇にあった小部屋というか、少し広めの納戸のようなところ。そこに、なぜか甘いにおいがしみついていたのです。でもそれを家族の誰に言ってもわかってくれないのですが(笑)。「そんな甘いにおいなんて、したっけ?」って。
そこはいつも薄暗くて、何が置いてあったのかよく思い出せないのですが、そのにおいの記憶ははっきりと思い出せるのです。そして大好きだった、祖父母の家での時間も。「あ~またこのにおい!〇〇ばぁちゃんちにいる!」とはしゃぐ気持ち。
またあの場所に行きたいと思っても、祖父母は亡くなってしまったし、それ以前にその家は取り壊して建て直されたので、叶いません。
そういう変化には、悲しみに近い寂しさがつきものだなぁと思います。でも、頭の中でその記憶をよみがえらせて、幸せだったな~と感じられると、時間が過ぎて今に至る現実をすとんと受け止められるのです。感謝する気持ちも一緒に。
そうやって、今という現実に、折り合いがつく気がするのです。
そして、自分の中に幸せがたくさんあったことを、はっきりと感じられます。
☆これは「幸せの記憶」として、セミナーでも大切にしているワークのひとつで、私はこれで人生が変わりました。