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いかなご

 立春になって、春よ来い!と思う頃にまた、寒の戻り。今日のお昼間も日差しに油断したら寒かった~。ちょうどこの頃に食べたくなるもの、それが「いかなご」です。

 関西にお住いの方は、それぞれのご家庭の味があるのでは?
私は祖母が毎年、必ず作って送ってくれました。美味しいことはもちろん、「やった~これを食べたら春になる!」とその意味でも毎年、嬉しく思っていました。暦よりも確かな、春を告げる味。誰のより、どこの料亭のものよりも、祖母のお手製いかなごは、絶品でした。

 食べ物の記憶は、心に深く残りますね。そして、それを思うとき一緒に、たくさんのことが思い出される。
 

 幸せの記憶をたどって思い起こすことは、とても意味のあることだと教わりました。今では本当にそう思います。かつて30代の私は、幸せは手の内にないものが手に入ることだと思っていた。それは間違っていました。幸せとは、感じるものなのだと。自分の内に必ずあるのです。意識しないと眠ってしまうけれど。

 祖母のこと、思い出します~。歌声、笑顔、運転する時の、ハンドルの持ち方。私や妹たちが、食事中にうっかりひじをついた時の、ちょっとしたお説教。セカンドバッグを振りながら、スーパーに向かう歩き方。「品とは生まれ持つものだから。大切にしなさい」
よくそう言われたことまでも、懐かしく思い出します。

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