金曜のブログで、オバマ元大統領のハグのことを書きました。それで思い出したのが、ミシェル夫人のエピソードです。
当時G20サミット出席のため、イギリスに向かったオバマ夫妻。そこで夫妻は、エリザベス女王に初めて会うことになるのです。
宮殿で開かれたレセプションパーティが終わりに近づいた頃、にぎわう人々のなかで、ミシェル夫人はふいに女王と2人きりになります。そこで交わされた会話は、とても自然で素朴なものでした。
「あなた、背が高いのねぇ」と女王。「はい、ヒールを履いているのでいつも以上にですけれど、もともと背は高いんです」。「そういった靴は足がつらいでしょう?」「えぇ実は、今も足が痛くて」とミシェル夫人。
互いに、時としてダイヤモンドの王冠を戴くこと、大統領専用機で移動することなどを忘れて…そこにいたのは、疲れきって履きなれない靴に苦しむ2人の女性なのでした。
そして2人は心が通うのです。「だから」本能的に、愛情をこめて、ミシェル夫人は女王の背中に手を回した…。その行為はご法度とされ、このレセプションでの一幕は世界中のメディアに叩かれることになってしまったのでした。
『ミシェル・オバマ。無礼にも女王にハグ!』
様々な不安と葛藤の後に、「しかしあれは人間らしい行動だった」と彼女は書き記しています。その証拠に、ミシェル夫人が手を触れたとき、女王は彼女を引き寄せて、手袋をはめた手をそっと腰に回してくれたのだと…。
大統領夫人である前に、女王である前に、ひとりの女性として。そして、大統領である前に、ひとりの人間として。その人らしさが前面に出るのは、つくづく素敵なことだと思います。