「ワークライフバランス」と言う言葉が言われ始めて、ずいぶんと経ちますね。うちの会社としては、その発想ではないのです。
「仕事とそれ以外と、区別しない」「どれも同じその人にあること」。
これが今の会社では当たり前に言われていることです。
そういう目で世の中を見てみると、近い考え方に出会います。これもそのひとつ。
料理研究家の土井善晴さん。かつてフランスのリヨンで修業をされたそうです。
当時、人口1500人ほどの小さな村だったロワイエット村。そこにあるレストランに務めていた時のこと。
秋になって狩猟が解禁になると、村の男の人は森に入って、キジなどの野鳥を散弾銃で打ち、レストランに持ち込んでくる。するとまずは腸を抜いて熟成させ、1週間ほどしたら羽をむしって調理する。
毎日配達されるしぼりたてのミルクから、アイスクリームを作る。
収穫したばかりのレタスは、内側をサラダに、外側はうさぎの餌に。
そのうさぎはやがてテリーヌになったり…。
隣の教会では、神父さまがお昼前になるとバスケットを持ってやってくるので、サンドイッチなどを入れて渡した…などなど。
それもこれも、「オーナーシェフのアントナンさんの生活は、暮らしと仕事の区別がなくて、暮らしの中に仕事があった」そうなのです。
ステキなことですよね。
「美味しいものはその土地の風土と、動物と、家族みたいな友人とがぜんぶつながるところにある」…これって、誰もが営む日々の暮らしに、欠かせないことではないでしょうか。
食べられる幸せ。
誰のために作れる幸せ。 一緒に食べられるなら、なお幸せ。
1日4食するようになった、大食いする息子を前に、とても幸せを実感します。