昨日のタクシーの話につなげて。
ステキなエッセイを読みました。
翻訳家の斎藤真理子さん。
「3月になると思い出すことがある」として、15年近く前、会社員だった時の出来事を書いておられました。
仕事でギリギリのところまで追い詰められ、会社のそばのホテルに止まってとっくに破綻したスケジュールにどうにか間に合わせようと、自分で自分を追い込んでいた…。完全に判断力を失い、明け方の4時ごろにタクシーに乗った。
60代くらいの運転手さんに、気が付くとぽつぽつと自分のことを話し、仕事のこと、子どものこと、どっちも必死にやってきたのにどうにもならなくて…と。
その斎藤さんに向かって運転手さんが、こう言ったそうです。
「明日はありますよ。」
そして、ひと呼吸おいてからさらに。
「明後日も、ありますよ。」
その時に、なぜだかわからないが「空気が変わった」と、はっきりそう感じられたのだそうです。
「ありがたかったな…」と思いながら、走り去るタクシーのナンバーを見ると「3939」だった。サンキューサンキュー?「できすぎのようだけど、本当の話」だと。
うん、うん…わかりますよね~。
どんな気持ちになったか、どれだけ救われたか。
不意に出会った人に、何も知らない相手に、心を丸ごと受け止めてもらうような瞬間。不思議だけれど、あることですよね。
無茶をしたり、必死になったり、苦しい時だから感じられるありがたみ。
ずっと心に残る出来事。
何が幸せかなんて、わからないな~と思います。