ある大学教授の方のエッセイに「手書きの紙からは、色々情報を受け取ることができた」と書かれていました。
コロナになって、それまでは授業後に紙で配布していたコメントシートを、ウェブを通して出してもらうようになった。
当然、文字が画一化されるのです。
そうすると、手書きであれば、にじみ出るはずの個性が、均質化されてしまうと。
「デジタル技術が、どんどんコミュニケーションを覆い尽くす」というひと言に、ドキリとしました。
そう言われてみれば、手書きの何かを受け取る機会は、どんどん減っていますよね。
私はこの夏、昔、子供達がお世話になった幼稚園の先生から葉書を頂き、それにすごく感じるものがありました。
先生は闘病中でいらして、歩くことも、手先を使うことも、少しずつしかお出来にならない状況であるのを知っているので、それでも尚、こちらを思って書いてくださるその文字には、しみじみ頭が下がる思いでした。
正直、大きさがまばらだったり、まっすぐには書けていない文字…でもものすごく力強かったのです。
そこに、底力というのか、思いがとても強く込められていることが、よくわかりました。
字は人を表す…本当にそう思います。
手書きは時に、個性も、温もりも、その人の持つ力も、映し出すものですね。
紙と共に、手書きするという習慣が、なくならないでほしいと思います。