ジャズピアニストの大江千里さん。日経のコラムを楽しみに読んでいます。先日は、お父様のことが書かれていました。
新聞記者だったお父さんと、大江さんは中学になってからまともに話さずにいて、歌手としてデビューした後も、コンサートに来てくれたこともない。そんな関係だったと。
しかし、お父様が晩年、病気で声を失います。その体を気遣う大江さんと心の距離は、少しずつほぐれていったそうです。そして、渡米すべきか迷っていた背中を「行きなさい」と押してくれるまでに。
どんな思いがあるのか…親子って不思議な関係ですよね。うまくいく場合も、そうでない場合も。世の中、人の数だけ親子関係があるのだなぁと…。
親に対してどういう気持ちを持っているか、それはその人の人格に大きく影響を及ぼすのです。できればいい関係であるに越したことはない、でも仮に亡くなったあとでも、その関係は良いものにできるのです。
まさに今、大江さんは、お父様への思いをますますさ深くされていることが伝わりました。
「コロナが明ける頃には父に宛てる手紙が書けるようになると思う。
お父様は、コロナ禍になる前に亡くなられたそうです。コラムは、こんな一言で結ばれていました。
『コロナは人びとにいろんな制約を与えたが、むしろ僕らはそれで成長しつつあると感じている』。
コロナに対して、こんなふうに力強いメッセージを発信できるってすごいと思います。なんだかとても嬉しくなりました。