ピアニスト、仲道郁代さん。エッセイを通してこの方に触れたことで、この方は一体どんな音色を奏でるのか、興味を持ちました。
準備した曲を、コンサートの場で自分の最上で表現する。
「その1回限りのために日々がある」と。
同じように考える次元ではないのですが、私であれば、セミナーの台本を事前に考えて当日を迎える時、「これぐらいまでできていると実際にはこれぐらいやれる」という目途が、少しずつ確実に付けられるようになりました。
物事を「作り込む」ことって、どこか共通点があるのかもしれません。
仲道さんは「練習工程表」なるものを作って、練習の計画を立てていかれるのだそうです。
慎重に考えて作っても、表現をもっと工夫したくなって変更を加えたくなったり、果たして間に合うのか?と緊張の日々を過ごす。
私の場合は直前の土日に、気が重くなったり、いやできるよと思ったり、気持ちが上下します。そしてついつい、甘いものを食べ過ぎてしまうのです(笑)。
仲道さん曰く、極限まで準備を重ねたのち、コンサートでは「降りてくる」のだと。
自分が演奏していることも超越した、鳥肌が立つような瞬間が、そこにあるのだそうです。
ピアノだけでなく、ほかの楽器も、あるいは歌やお芝居、ダンスを見せる人も…その人それぞれの特別の境地があるのですよね、きっと。
「そんな境地に、私はずっと取りつかれている」そうです。
その音色、聴いてみたいなぁ。