発展途上国で作ったバッグを国内外で販売するマザーハウス。社長は山口絵理子さん、38歳。起業し、その後もビジネスを持続させるたくましさとは真逆な、ほんわかとした笑顔が印象的です。
自ら商品デザインを手がけ「途上国から世界に通用するブランド」を作り上げるその生活は、1年間のうち7割をバングラデシュなどの生産地で暮らすというもの。なんとパワフル!でもその根底にある思いは常に「支援じゃない、これはビジネス」と。
貧困の先に求められているものを確実に捉え、そこを実行し続ける姿勢。つくづくすごいと思いました。
まったく話は変わりますが。私が小学校5年生の時。仲良くなった友達4人、その中でも色んなことをよく知り、勉強もよくできたKちゃんの提案で、「みんなで一緒に里親になろうよ!」という話が持ち上がったのです。
Kちゃんの家は熱心なカトリック信者で、里親とか、寄付についても、とても身近な様子でした。 私はその時初めて、里親制度を知りました。ドキドキしながら、でもその場にいられることが嬉しくて「みんなでお小遣いを出しあえばできるよね!」という話に加わったのです。
帰って親に相談してこようという話になり、どう言おうかと考えるうちに、正直なんとも気が重くなっていったのでした。
確か当時、一か月のお小遣いが500円で、里親になるには、そのうちのほとんどを出せば足りるというものでした。…でも本当にそれを続けられるのか、もっと言うと本当に自分はそれをしたいのか?一人になったとたんに、気弱になっていったのでした。
よくわからない中で、里親の「親」という言葉にも、すごく引っかかっていました。親になるの?それってどういうことだろう?…わからない、そして、なんだか苦しい、ちょっと気持ち悪い、なんとも言えない気持ち。
思えばあの時初めて、「責任」というものを感じた瞬間だった気がするのです。
結果的に親から叱られることはなく、でも真剣に諭されました。今、あなたが手にしているのは、自分で稼いだ自分のお金ではないでしょう、と。
翌日その5人で話し、誰がどういう結論を言ったかまでは忘れましたが、親に止められた、という家庭が多く、里親の話はなくなりました。
その時の私は、つくづくほっとしていました。 責任が取れないのに、そこに踏み出してしまうかもしれない状況が怖くて、逃げ出したかったのだと思うのです。
マザーハウスの山口さんの話から…言いたいことは「責任」です。
仕事においても、責任を背負うその重さがどれほどか。会社の中を見ても、それぞれに背負う「責任」を思うと、自分以外の全員を尊敬できます。
中でもすべてを自分事、自分が責任を持つと決めている先輩であり上司であるUさんのことは、大尊敬です。
あの時の私が一瞬、負いそうになってつぶれそうになった気持ちの、何百倍も強く重いものを、常に、心に抱えているように見えるからです。 大変さとやりがいと、使命感と生きがいと…うまく書けませんが、どれも密接に関係すると思います。
まずは責任、その大きさよりも、自分で決めた「約束」を守ることから、積み上げたいと思います。