昨日も触れた「幸せの記憶」。これを先日、お客様とのイベントでも行いました。
参加されたのは、30代から90代までの方、総勢40名ほど。全国各地から参加できるのも、オンラインイベントの良さだなぁと思います。
そこで皆さんと行ったのは、グループに分かれて、特に小さな頃の幸せの記憶を思い起こして、紙に書いてみる。そしてそれをシェアするというもの。
私がご一緒したお客様に、50代のとてもおとなしい感じの方がいらっしゃいました。
人前で話すことはおそらく、あまりお得意ではない様子。控え目に言葉を選びつつ、伏し目がちにお話される様子から、まじめなお人柄が伝わります。
「私が子供の頃は、家にテレビは1台しかなくて・・・夕方になると祖父母がお相撲を付けるので、見たいテレビが見られなくて・・・でもそういう時代だったから仕方ないことで・・・」
正直それを聞きながら、いつ幸せ感につながる話なのだろう?と、先を急ぎたくなりました。
でも、時間が限られているとはいえ、人それぞれのペースというものがありますから、ぎりぎりまで待とうと思いながら、聞いていました。他の方々も、それをわかって笑顔で見守って下さる時間がありがたかったです。
「それでですね、退屈で、あんまりつまらないもんで、ひょんなことから弟が・・・その部屋には一年中、こたつが置いてあったんですけど、その机の、板の部分をななめにずらして、滑り台みたいにしたんです。そこを滑るというのか、落ちるようにして、何回も何回も、私も一緒にやりだしたらそれが楽しくって・・・どれくらいかなぁ、毎日のように、本当によくやっていました。」
「祖父母は相撲に熱中しているし、母は家事をしてこちらには目が届かなかったのか、誰からも叱られなくて・・・でもちゃんと大人が一緒にいてくれる安心感があって・・・今思うと、ちゃんと守られとって、ありがたかったなぁと。のびのびさせてもらったなぁと思います。」と。
ゆっくりと静かな語りの口元が、しだいにほころんで、笑顔に。
最後は思い出されたのか、その様子が、さも「おかしくてたまらない」といった表情で語られたことが印象的でした。聞いている私たちもそのぬくもりを分けて頂いた感じでした。
思い立って「いかがですか?その時の部屋の音や、滑り落ちる時の感触とか、思い出されますか?」と質問すると、「あ~、あ~、覚えてます。わかります。懐かしい・・・」と。
これがまさに、幸せの記憶であり、そこに触れ、それを思い起こすことで改めて幸せ感に包まれる感覚なのです。聞いているこちらまで、ほっこり。そのお部屋の様子をちょっと離れたところから見て、笑顔になった感じがはっきりと残りました。
嬉しい時間でした。