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大学への憧れ

 歴史学者の藤原辰史さんが、大学教授として発信していらしたメッセージ。ずばり、就活廃止論でした。

 勉強への関心が高まる3年生の夏に、多くの学生が就職活動で頭がいっぱいになり、大学教育の根幹にあたる卒業論文に打ち込めない…。そのような原因を生む企業に対して
「あと半年、(学生を)任せてくれないか」と切望しておられました。

 その文中、大学の魅力をつづられた文章が素晴らしくて、私は改めて、大学に通いたくなりました。
とはいえ、その道は選択することはないでしょうが、それでも「あぁ、大学ってそんなに素晴らしいところなのか」と感じたのです。

 そしてできればこれは、今から大学を目指す世代に、伝えたいことだなと。これに限ったことではなく、自分が身を置く環境で、努力次第でそんなふうになれる!というプラスのイメージは、とても大事だと思うのです。

 そのメッセージとは以下の文章でした。
『(大学では)カネで測定される社会の価値判断から身を剥がし、
自然と人間の脅威と美に慄き(おののき)、
言葉の森に分け入る。
この世界が極小並びに極大の単位で整然と営まれていることに驚き(自然科学の基本)、
あなたが死んでも自然と社会は変わらず進むことを知り(社会科学の基本)、
しかし、あなたはあなた以外の人に代替できない存在であることの尊厳(人文科学の基本)に触れ、
世界の美しさの根源を探る(判断力の基本)。

考える時間の多い大学では、人間の精神を事前にふかふかに耕すことができる。』

「人間の精神をふかふかに耕す」…すごくいいなぁと思いました。
その集大成が卒業研究なので、そこをもっと思い切りやらせたいと願う先生の主張に、共感しました。

 ともすると、人生は長くなっているのに、何かと生き急ぐような習性を身に着けている気がします。
学ぶことでも、他のことでもいい。ささやかなことで、自分の中に進歩を感じられるような「楽しみ」を持つことがとても大事だと思いました。

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