『女の一生』を読みました。遠藤周作。今回、文字のごとく読破したのは「二部 サチ子の場合」です。
きっかけは、娘が夏休みの宿題で、読まなくてはならない課題図書だったこと。
私自身の遠い記憶は「一部 キクの場合」を、途中まで読んだような…という程度。それでも今回は娘がひとあし先に、すらすらと言えない状態で頑張って読み終えたので、私もと思って読みました。
こんなに重たいものを読んだのは、いつ以来だろう…。
昨夜、読み終えたのですが、なんとも言えないなまりのような気持ちが重たく残っています。
主人公の言葉とか、思いとか以前に、この時代の過酷さ。悲惨さ。
それと比べて現代に生きることの、ぬるさ…。
特にこの二部は、アウシュヴィッツ収容所の日常が細かく描かれていることが衝撃的です。
著者は実際に現地を訪れてこれを書いたそうですが、一体どんな思いで、その目を通して現場を見たのでしょう。
とても書ききれないので…。もうひとつ思ったのは、夏に読書とか、感想文を出される理由を、改めて感じました。
それは単に「夏休み」という時間が取れるからなのではなくて、夏って感性が鋭くなるからでは?と。
振り返ってみても、幼いころの記憶で「夏」を思い起こすと、特にその匂いや音、風の感じ…といった五感に沁みついて残っているものが、他の季節よりも多いと思うのです。
だから、この季節に触れることには、意味があるなぁと感じました。