失敗つながり、というか。昨日に続き、です。
あ、ちょっとその前に。大昔のことですが(笑)、受験勉強をしているときに、とてもお世話になった英語のK先生が教えてくださったこと。
「一生懸命やっているとね、同じ単語がまた出てくるのよ~ほら!」と。
確かに、ある読み物のなかにあった単語が、次に別のテキストの中にも出てきて、
「わ~また出た!」ということがよくありました。
その考え方は今も私のなかに残っていて、こうして失敗を題材に書いたあとにまた、失敗について書かれた記事を発見すると・・・「わ、まただ!」と思うのです。
なぜか不思議に引き寄せる感覚、とでもいいましょうか。おぉ!と嬉しくなります。
さて本題ですが、今日は宇宙飛行士、若田光一さんの記事です。
4回宇宙を訪れ、日本人で初めて国際宇宙ステーション(ISS)の船長を務めた、歴戦の宇宙飛行士。その職場である宇宙では、しかし、失敗は許されないのです。
そんな若田さんに、失敗とは、リスクとは何かを問う記事でした。
「これまでで一番大きな失敗は?」という投げかけに。
しばらく悩んでから、若田さんは「思い当たらないです」と答えています。
でもそれは決して自慢ではなく、「小さな失敗は、いっぱいあります」。
「だけれども、宇宙で大きな失敗は命取りになる。常に前兆となる小さな失敗の原因を徹底して考え、大失敗の可能性をつぶしていくんです」と。
そうか~と、ガツンと脳に響く言葉でした。
2003年2月。地球に帰還しようとしていたスペースシャトル・コロンビア号が空中分解する大事故が起こります。若田さんとともに訓練した宇宙飛行士7人が、命を失ったのです。
散らばった残骸を拾い集めたその中には、仲間のヘルメット、好きだったCD、ノートやk族の写真も見つかります。
「この事故の重大さを乗り越えなければ、先に進めない」と、その時の若田さんは強く思ったそうです。
事故の原因は、剥がれた断熱材。NASAの技術者が事前に危険性を警告していたにも関わらず、上層部がそれを軽視した事実が発覚します。
仲間の死が突きつけられ、そしてなお、人類の未来を先導すべく、ミッションは続くのです。一体どんな心境で、現実と向き合っておられたのか。
その極限であろう状況は、想像を絶します。
「前回うまくいったことが今日成り立つとは限らないんです。
前例は踏襲しちゃいけない。重要なことは『今ベストな解は何か』です」。
・・・常に「今」。その瞬間に本気である仕事。
それを続ける若田さんという人は、いったいどんな人なのだろう、と感じ入りました。
宇宙という空間は、それだけで劇的。だからこそ劇的なことを起こさずに、平穏にミッションを終えることが重要なのだと。
「始めから完璧にと考えると、小さなミスからミッション全体がダメになる。
幹になるところを失わずに、何を優先するか」。
ドキっとしました~。
私はとても不器用なので、何事も完璧にとは思わないのですが、それでもつい、「うまくやる」「無難に終える」ことをイメージして、物事を進めようとします。
どうですか?そういう感覚って、ありませんか?
私はほんとに、そうなので・・・だから、ちょっとの失敗にもめげてしまうんだと。
想定が甘いのだなと思います。めげている場合ではなく、失敗を小さく抑えて、それを対処し、致命的な事故にならないようにすること。見ているところが違ったなと。
宇宙飛行士として高みに上り詰めた若田さん。だからこそ重みのある言葉で、記事はしめくくられていました。
「人生は、『超低空飛行でいい』。」
空高く飛べなくていいから、墜落して死なないこと。長く長く飛び続けること。そうすればいくらでも、失敗から学ぶことができるのだから。