西加奈子さんの『漁港の肉子ちゃん』を読みました。 ちなみに「肉子ちゃん」はあだ名で、菊子という名前のぷっくり太った女性が主人公です。
私は知らなかったのですが、(けっこう有名な話らしいです笑)、この作品は、明石家さんまさんがプロデュースしてアニメ映画化され、大竹しのぶさんが主役の肉子ちゃんの声優をつとめたことで、話題になったそうです。
アニメは観ていませんが、小説の時点で、もう思わず吹き出してしまうことが多すぎて、通勤中には読めない!と思ったほどでした(笑)。
小説を読んで、笑いたい人にお勧め! そして、難しいこと抜きに、ハートで生きている主人公の純粋さに触れたい人はぜひ!読んでほしいです。
個人的には、物語も大好きと思いましたが、後書きを読んでハッとするほど心をつかまれました。
というのは、宮城県 石巻が舞台の物語。これは意図せずして生まれたのだそうで、東日本大震災が起こった後、作者は気持ちの持ちようを大いに考え抜いたのです。
以下、後書きより。
「キラキラした石巻のおかげで生まれた『漁港の肉子ちゃん』を、私は慈しもうと思いました。
書いた私に、すべての責任があります。
・・・こんなに愛している作品を、私以外の誰かが読むこと。 奇跡みたいなそのことを、知っていたつもりにならないで、私は誰かがページを繰る瞬間を、考えようと思います。」
あなたが、『漁港の肉子ちゃん』を、読んで下さった、ということを、私はずっと、考えようと思います。
小説家としての潔さ、そして覚悟が感じられて、感動しました。この数行にしばし見入ってしまいました。