久しぶりに、どっしりと重たいテーマで、考えさせられる本に出合いました。
『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』
幡野広志さんという写真家の方が書かれた本です。
生きにくさを抱えている(というと、ほぼすべての人がそうだと思うのですが)人に、救いになる本だと思いました。
写真家であり猟師の資格も持つ幡野さんは、34歳の時に「治らないガン」の告知を受けます。 それでも、後悔はないと言い切れる生き方をしている。それは、幡野さんが「すべて自分で選んできたから」だと。
こう言い切れる人生って、すごいと思ったのです。 子どもの頃って、どうしても選ぶことができず、まわりの大人の判断に従わざるを得ないですよね。
でも、大人になり、そして幡野さんの持論としては「病気で人生が短くなってくると」、実はなんでも、どんなことでも選べるのだと。
時にそれは、選ばないといけない状況になるわけです。そこで、どう選択するか。
幡野さんがこの本を通して強く提示したことは、2つだと私は感じました。
1つは親子関係。親を大切にしなくちゃと気負わなくていい、ということ。血のつながりよりも大切なものがある。あっていいのだと。
幡野さんは実の母親と、絶縁状態にあるそうです。「次に連絡する時は、死んだときだと決めている。」
とてもここには書ききれないのですが、幡野さんは、自分の命に限りがあると知ってから、カメラを手にして「取材」として、人に会って話を聞くことをしていかれるのです。
そこで出会う人が、とても壮絶な人生を生きている人ばかりなのです。それは幡野さんが引き寄せたのかもしれないし、あえてそういう人に会いに行ったのかもしれない。
要はとてもじゃないけれど、「親を大切に」なんて、苦しすぎてできない人生の人もたくさんいるんだ、ということ。
それを私は初めて、ここまで目の当たりにしました。親を選んで生まれることは、誰にもできないのだから。
そういう人達には何よりも「親との関係を自由に選んでいい」とする、幡野さんの言葉が救いになると感じました。