最近はまっている小説があります。高田都著 『澪つくし』。
とにかく引き込まれるストーリーで、泣けてしまう展開も多くて、通勤時間に読む時に、困ってしまうこともしばしばです。
『澪つくし』は、昔の江戸が舞台の時代小説です。
主人公「澪」は、小料理屋「つる家」の厨房を任されている女性です。彼女の腕を見込んで、引き抜きの話がくるのですが、その時に言われた一言が、心に残りました。
「ひとは与えられた器より大きくなることは難しい。」
これにドキッとしたのです。
引き抜きの話に心が揺らぐ澪に対し、先方は
「あなたがつる家の料理人である限り、あなたの料理はそこまでだ。」
と言い放ちます。
最近ずっと自分の中でくすぶっていること…新しいことに挑戦せずに守りに入ってしまうと、そのぬるま湯状態では成長が止まってしまう。
止まって維持できることはないので、そこから次第に下がっていく…そんな自分を想像してしまったのでした。
どうなるんだろうと思いながら読み進めていくと、
結局のところ、澪は現状の「つる家」に留まることを選択します。
しかも、彼女はこう言い切るのです。
「与えられた器が小さいのであれば、自身のこの手で大きくする努力をします。たとえそれが『些末なやりくり』であっても、そうした積み重ねこそが、夢に届くのだと私は考えます」と。
なんだかスカッと嬉しくなってしまいました。
何か新しいことをしなくては、このままではダメだと焦る気持ち…新たな挑戦や大きな改革を自分に課すことが必要だと。
でも中々、それができなくて。仕事以外のことも含めると、毎日それなりにいっぱいいっぱいで、余裕がないのも事実なので。だったら…
器ごと変えるのか。
そのままの器で自分を磨くのか。
今は、器を変えなくとも、自分なりのやりくりをしていこうと。
ここに甘んじないぞという気持ちを持っていれば。
それでもいいじゃない?と思ったのでした。
状況や年齢など、色んな理由で器ごと変われないことってありますよね。いずれにせよ、良くするのは常に自分しだいですね!