法政大学総長でいらした田中優子さんが書いておられたこと。
お兄さんの結婚式で、兄妹2人を知る先生に会い、「あなたはお兄さんに負けないように、がんばったんだね」と言われた。でもその言葉の意味が腑に落ちず、いつまでも覚えていたそうです。
…と言うのも、田中さんには優等生だったお兄さんに対抗する気持ちはまったくなく、先生が勝手に「兄に負けたくないと頑張ったのだろう」と想像しただけだと。
お兄さんへの競争心や劣等感はなく、ただただ江戸文学に夢中になっていて、それは遊びに夢中になっているのと同じ気持ちだったのだそうです。それが「今もずっとそのまま」というのが素敵だなと思いました。
「学生を見ていても、競争心よりも好奇心のほうが期待できる」と。
そうですよね~。わくわく、時間を忘れてのめり込めるようなものに出会えたら、本当にいいなと思います。
田中さんは、兄と自分を比べる気持ちというのが「皆目わからない」と書いておられるのですが、これはまたすごいことだと思うのです。
私は「1つ下の妹と自分」とか、「まわりと自分」を、よく比べていました。そして必ずといっていいほど、みじめな気持ちになっていました。でもこれ、よくあることではないかな~?
けれども、運のいいことに私は母のおかげで救われたのです。これはまた明日、続きを書こうと思います。
最後に何よりも、田中さんのこの言葉に同感です。
「負けないように頑張る」とはなんとつまらない言葉だろう。人をごく狭い視野に閉じ込める呪文である。競争の彼方にこそ、新しい道が開けているのに。
「彼方」に、思考を向けたいと思います。