作家、井上荒野さんのエッセイで、「呼ばれる」ことについて書いてありました。
井上さんは、だんな様が夕食を作ってくれる時、「ごはんができたぞ!」と呼ばれる。これが最高!と。そして、子どもの頃はいつもそうだった。亡くなった母から最後に呼ばれたのはいつだったろう…と。
呼び方に関するあれこれ、ありますよね。 私は子どもの頃、親から名前を呼び捨てにされることがちょっとだけ嫌だったので、子ども達を「ちゃん」「くん」付けで、呼んでいます。
でもその子ども達から、最近では娘は私を「ママ」と言うけれども、息子は「あのさ」「ちょっと」…。 もう「ママ」とは言いたくないらしい(笑)。気づけばあら、そんなお年頃に成長!
子ども達が小さかった頃、「ママ~!」と言われることに疲れて、どうかするとすぐに反応しなかったり、イライラしたりしました。解放されたかったから。余裕がなかったなぁ。でもそれがいつの間にか、気づけば言われなくなってきている。
さんざん必要とされたあの頃。歯磨きひとつ「早く自分でできるようになって~!」と思ったけれども、過ぎてしまうと、今では「ほんの一時のこと」だったなぁと思います。
それなりに、終わりが見えないと思うほど、長く濃密な時間だったのに。渦中にある時には感じ取れない幸せがあるなぁと思います。少なくとも私は、感じることが下手だったなぁ。
でも振り返って今、その時のことを「幸せだった」と思い直すことができるのですよね。感じ方や捉え方は、その時その時、変えてゆけるから。
今がより良ければ、過去をもっと良いものにして、心に留めておけるのですね!
そういえば、結婚して新しい名字になり、銀行とか、お店でその名字を呼ばれると、ドキドキしたなぁ。
それから、友達でも仕事関係でも、知り合って仲良くなっていって、相手が自分のことをあだ名で呼んでくれるようになると、ドキドキ嬉しくなりますよね。
「呼ばれる」って、いいですね。