ことば

美しい文章

 久しぶりのブログです。書かないと…と思っていた気持ちを吹き飛ばすような、美しい文章が目に留まりました。

 歌人の小島ゆかりさんのエッセイです。日経新聞の連載記事ですが、何気ないようなエッセイに、こんなに素晴らしい文章が潜んでいるなんて、新聞は、やっぱりすごいなぁと思います。

前置きはさておき。

「謎」という題名でした。

世界は愛憎と理不尽に満ちていて、人生は予想外の連続で、そのつど驚きうろたえ、ときに奔走し舞い上がり、ときに立ち尽くしうずくまり、あんなことを言ってしまったりこんなことをしてしまったりする自分がいて、他人どころか自分こそが最大の謎なのだ

…本当にそうですよね。
日々のニュースでも、どうして…と思うようなことが伝えられます。
例えば虐待のニュース。理不尽きわまりないような内容を耳にすると、理解できないな、本当に世の中って理不尽だなと思うのです。

そして、「自分こそが最大の謎」という一文にも納得でした。
もちろん、自分がいちばんわかっている面もありますよね。でも、自分のことなのにわからないことも多い。

そして私が美しいなと感動した描写は、

しかしそれでも、春の空気のふくよかさや、夏の夕暮れの人恋しさや、晩秋の街のなつかしさや、真冬の夜空の美しさを、全身で感じながら生きたいと思う。

この、四季について表現された部分です。
こんなふうにいとおしむ気持ちを言葉にできるって、素敵だなぁと思います。そして、真冬の今、その「夜空の美しさ」ははっと息をのむほどですよね。特に夕焼けから暮れどき。そして、真っ暗闇の空が明るくなるとき。

疲れていても、幸せでもいい。そういう瞬間を感じられるような心の状態だと、いいなと思います。

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