ノンフィクション作家、佐々涼子さんの『エンド・オブ・ライフ』を読んでいます。題名の通り、命が終わりに近づいている人のこと、その家族の記録が次々と描かれています。
私はこれまで、病気を患っている人、死と向き合いながら生きる人が、身近にいたことがないのです。
例えば祖父母のことであれば、その頃の私は小学生だったので、私が見聞きしたことはとてもわずかです。
でもこれから先、命の閉じ方(この本ではこう表現されています)を考えることが、自分も含め周りで必ず起こることだから、知りたいと思いました。
読みながら印象に残ったことは、例えばがんと向き合っている人たちのこと。がんサバイバーとされる人たちにとって「若いのにかわいそう」と言われるのが一番つらいのだと。
「子供がまだ小さいのに」とか「この先が大変な中で」と言われることが、とにかくつらい。
実は、私は完全にそう思っていました。ご病気の方、亡くなられた方がいて、それがまだまだお若い年齢だったり、お子さんを残されて…という状況だと、まさに。
改めて納得したことは、がんになったことによって、時間の進み方や、景色の見え方が変わる。素敵なことや、幸せなこと、喜びもいっぱいある。それなのに若いからってどうして悲劇のように言うのか。言われる人たちは、自分の人生の何がわかるのか、と思うのだと。
本当にそうですよね。私のような健康体の者からは、病気と共にある人の気持ちはわからない。だから推測するわけですが、それにしても、知らなさすぎるなぁと。
知らないことを自覚すること。そこからだなと思います。